株式会社に即した定款コーナーも今回が最後です。
今回は「計算・附則」について解説していきます。
会社法でいう「計算」とは財務諸表・決算申告等における事柄です。計算にもいろいろ重要な事項はありますが、設立時に最も気になるのは、「事業年度」だと思われます。
事業年度はいつでも構いませんが、会社の繁忙期と決算申告時期が重なると、毎年かなりの負担になるので、できれば繁忙期と重ならないよう事業年度を設定するのをお勧めします。
また、事業年度の時期によって、最初の事業年度が決まりますが、これが設立日と近づきなりすぎると、最初の事業年度の到来が近くなり、消費税の免除期間も短くなりますので、注意が必要です。
1.「計算」とは
定款の「計算」の章には、会社の事業年度や剰余金の配当に関する事項などを記載します。
この章は、事業年度をいつにするかということ以外は、定型のものが多く、実際に配当を行わない中小企業では、定期的に見直しをする必要性は低いです。上場等により企業規模が大きくなると、株主に対し剰余金の配当を行うことになりますので、その際に配当の決定機関等を検討するとよいでしょう。
事業年度の始期と終期は、1年内であれば会社側で自由に定めることができます。通常、3月、6月、9月、12月のいずれかを決算期(事業年度の末日)としている会社が多いですが、いずれの月でも構いません。
前述したように、業務の繁忙期と重ならないよう設定することをお勧めします。
また、事業年度も事後的に変更は可能ですが、変更すると役員の任期や税務申告に影響が出ますので、頻繁に変更することは避けるべきです。
2.「附則」とは
定款の「附則」の章には、一般的な規定や、他の章の変更により影響が出た事項についての経過的措置的な規定を定めます。
したがって、既存の株式会社には、現行定款に定める必要がある事項は特にありません。
事業年度の変更により、変更後、最初の事業年度が1年未満であるときは、それを「附則」で明示する程度です。
他方で、会社設立時に作成する原始定款には、以下の事項を少なくとも「附則」に記載する必要があります。
1.設立に際して出資する財産の価額又は最低額
2.発起人の氏名および住所
その他にも、最初の事業年度や発起人の引受株式数などを記載するのが一般的です。
3.定款変更の方法
現在の定款を変更するには、どのような規模の会社であっても、原則として株主総会の特別決議が必要です。
しかし、株主総会の開催が容易であるかは、企業の規模や機関設計によって異なります。
そのメルクマークの1つとなるのが、株主の数とその構成です。
株主が1人であるとか、役員のみという会社の場合には、全員の意思確認が簡便でしょうから、招集手続を省略し、1日で定款変更手続をすることも可能です。
他方で、外部株主が多いなど、議案によっては反対意見の可能性があり、全株主の同意が容易に取れない場合には、招集手続を省略せずに、期間を要してでも、法令の手続通りに株主総会を開催すべきでしょう。
このような会社で株主総会を実際開催せず、書面だけ整えることは、事後的に株主に争われた場合に無効になりますので、絶対に避けてください。
招集手続に不備があるだけで、総会手続が取り消される恐れがありますので、注意が必要です。
4.まとめ
いずれにしても、定款変更を考えるときは、なるべく早い段階で専門家に相談することをお勧めします。コンプライアンス(法令遵守)の意識が高まっている今日、早めに対応することが社会からも求められています。
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